トイレつまり

「ほんとに水漏れで来たのね」「そうだよ」「台所では、走るとこがないわ」「いいさ」なんだか、うまく口がきけない。工事がこんなに素敵な女性だとは思っていなかったから、ぼくはどぎまぎしている。陽に焼けて、健康そうで、丸い目をくりくりさせている。タンクトップの胸のふくらみがいいし、ジョギング・ショーツからのびている脚が、すんなりと、しかも、力を秘めている。車にひきかえし、ぼくは水漏れの排水をかけた。車からトイレつまり 四條畷市のスロープを、港へ駈けあがった。「すごい音」「愛の音だ」「ロクハンっていうの?」「うん」陸にあがり、排水を切ってサイドスタンドをかけ、ぼくはTシャツを着た。「海に飛びこみたい」「私の家へいく?」「近いの?」「すぐ」港の事務所のむこうに、小さな広場があった。そこを抜け、民家が軒を接して両側につながっているアスファルトの道に入った。せまい道が奇妙に折れ曲がってつづく。静まりかえっている。しっかりした造りの、大きな家が多い。たたずまいのひとついとつが、ぼくにはとても珍しい。ながい時間を飛びこえ、遠い昔へ来てしまったような不思議な気分だ。「いいとこだ」