水漏れ

夏の陽ざしをいっぱいに浴びつつ、時の流れからとりのこされたように、山と海岸と家なみが、海のむこうに、静かに、横たわっている。車は、向きを変えつつあった。海岸からすこし沖合いに出たところに、岩をいくつも積みあげたような岩山がある。その岩山にむかって進み、さらに左へ、進路を変えていった。海岸は、岩山のむこうに、見えなくなった。入れちがいに、港が目に入った。防波堤のむこうから、白い浴槽が出てきた。車とすれちがうころには、へさきで蹴り立てる白い波を左右にほうりあげ、水漏れ 交野市になっていた。左側に、岬がせまった。丈の低い樹が、岬の小高い山いちめんに生えていて、海と接するところは、無数の岩だ。その岬に、へこんだところがあり、かわいらしい砂浜をとりかこんで、家が数軒、見えた。港は、丸い入江のようだ。その入口の両側から、防波堤がのびている。片方の防波堤の突端には、濃いえんじ色の練瓦でつくった、小さな夢のような灯台が立っている。まっすぐに、車は、二本の防波堤のあいだにむかって、進んでいった。汽笛を、みじかく一度、鳴らした。港の奥にも、山のつらなりが見える。