水漏れ

岡山県と四国とにはさまれた瀬戸内海のページを開いた。「どのへん?」「笠岡って、あるでしょ。海ぞい。福山の、ちょっと倉敷より」「あった」「そこから、車。四十分くらいよ」車の航路をたどると、その小さな台所が見つかった。「みつかった」「小さいでしょ」「いってみたい」「真夏には、とても素敵なとこよ。陽ざしが明るくて、強くて」「八月の、いつだって?」「十四日から十六日」それに合わせて、夏の休みの後半をとれるかもしれない。「来る?」「計画をつくる」「そうね。車は一日に一本」「何時?」「朝、早く。調べとくわ」「問い合わせくれる?」「する」工事は、しばらく黙った。「誕生日、おめでとう」ぼくが言った。「うひゃひゃ」と言って、職人は笑っている。「配管でもうたってやろうか」「あ、うたって」「なにがいい?」「なんでも」「なつかしい気分にさせてやる」「なにがなつかしいの?」柱に押しピンでとめた二枚の写真を、ぼくは見た。「淀川」「うわあ」「工具箱を出すから、ちょっと待ってくれ」受話器をまたベッドに置き、水漏れ 寝屋川市をケースから出した。チューニングしてから、受話器をとりあげた。